天文ソフトの紹介

足達 克己

 最近のパソコンブームで、何に使うかようわからんがパソコンを買ってしもーたという方が山天にもいると思って記事を投稿します。(貧乏山天にはいないかもしれませんが) 私はパソコンの一部の部品関係の仕事をしてますが、仕事の役得で天文ソフトを会社経費で買えるわけではありません。よって個人的な範囲で紹介します。 まずは昔話から。

8bitパソコンの時代は市販ソフトはほとんどなく、中野主一さんの「マイコン宇宙講座」のようなBASICで書かれた太陽系の軌道計算が主たるものでした。星図はせいぜい星座早見板程度が精一杯でした。しかし任意の場所と時間で、惑星も含めて空のどこに何が見えるかがわかるというのは今までにない大きな進歩でした。

16bitパソコン、日本ではいわゆる98がポピュラーになるといよいよ計算速度、精度共に実用的なものが市販されるようになってきました。代表例が「超高速天文シミュレーション」、そして真打ち「ステラナビゲータ」でした。ただし、星図はまだグラフィックが表示、印刷ともにいまいちでした。これはハードウェアの制約上仕方ないものしたが。(会長はこの段階でっせ) しかし米国ではこの時代からハードの制約をアイデアとパワーで押し切るソフトが数多く開発されましたが、98では当然、動きませんでした。

それで今はWindowsマシンの時代です。(すんまへん、私はMacを使ってません)

一番大きなメリットは、メモリの壁がなくなって恒星の膨大なデータを処理できるようになり、まともな星図の表示ができるようになったことです。そして印刷もWindowsが処理してくれますので最近のプリンタであれば綺麗に印刷してくれます。天文雑誌で見ましたが「もう、星図は全く使っていない」とのセミプロ級の方の発言も個人的には納得します。

では、どんなソフトがあるかを分野別に紹介します。ネタは「Astronomy OBSERVER'S GUIDE 1996」のソフトウェアの章です。この本は日本でいえば天文年鑑の性格をもったムック形態の本で、もう少し解説記事が主体になっています。

(1)プラネタリウム・プログラム

これが一般的な天文ソフトと呼ばれる範疇で、星座早見(これがプラネタリウムと言われるゆえん)と星図の機能を最低限備えたものです。日本産では「ステラナビゲータ2」、「ハイパープラネット2」があります。ネタ本では21社、44種!←米国の層の厚さを実感する数字ですな。日本で比較的簡単に入手できるものをリストアップすると以下のものがあります。

名称 出版元 OS メディア 星表 値段
Distant Suns日本語版 エーアイソフト Win3.1 CD-ROM H-GSC 9800円?
TheSKY J2 日本語版 日立カーエンジニアリング Win3.1 CD-ROM H-GSC 29800円
Red shift2 パシフィックハイテック Win/Mac CD-ROM SAO 9800円
Dance of the Planets 直輸入 PC-DOS CD-ROM 9200個 5000円
星表
  • H-GSCはNASAがハッブル宇宙望遠鏡のために編纂した約14等、1500万個
  • SAOは有名なスミソニアン天文台が編纂した約9.5等、26万個の星が掲載

米国で一番ポピュラーなのはTheSKYでしょう。
このうち、TheSKYとRed shift2は購入してますので、比較の記事を別に書きます。

(2)ディープスカイ・プログラム

星雲、星団に的を絞ったもので、暗いものをカバーしてますので星表もほとんどH-GSCをサポートしています。7社、9種リストされてます。ポピュラーなのはMegaStarです。日本でも2万以下で購入できます。冷却CCDで星雲ねらう方には必需品かもしれません。

(3)観測用・プログラム

天体望遠鏡とパソコンを接続して方向制御ないし指示をするソフトです。パソコンと接続以外はプラネタリウム・プログラムと機能面で重複するのがほとんどです。

TheSKY、Red shiftも実はこの機能があります。5社、6種がリストアップされミードのEpoch2000は日本でも販売されてます。(英語版のまま)

(4)イメージ処理・プログラム

電子暗室用のプログラムで、CCDやスキャニングされた写真データを見栄えよくするものです。20社、30種と多量にリストアップされてますが、Photoshopという一般的なフォトレタッチソフトの代表もリストされているためでしょう。星専用では、ぼやけたイメージをはっきりさせるHidden Imageが有名です。

(5)他のプログラム

いままでの範疇に入らなかったもので、約100種リストされてます。PC-DOS,EGAディスプレイといった割と古いものが多く、今では実用度は低いでしょう。新しいものでもスペースシャトルの軌道を図示するだけとか軽いものがほとんどです。この中で注目するのはZephyr ServicesのEclipseシリーズです。名前の通り日食、月食に関することを計算するソフトです。10年近く前に出てバージョンアップを繰り換えして、今では標準プログラムの感さえあります。私も今後の皆既日食に備えようと、今年春に直接Zephyrから購入しました。天報400にのった2045年までの皆既日食表、1999ヨーロッパ日食の皆既帯地図がこのソフトの計算結果の一例です。これについても、購入の顛末を含めて、別記事を書いて詳しく紹介します。

(6)CD−ROM

NASAを筆頭とする画像がCD−ROMの形で出版されてます。約80種リストされてますが、大半はNASA関係の出版部門からなのでアマチュアでなくプロ用のものが多いです。CD-ROM126枚のレーダ観測データ集とか!、でも$756なんでメディア原価代だけなんでしょうね。前述のH-GSCも、身近では国際光器で9800円で入手できます。

 以上、パソコン(この場合はDOS−V機ですが、98は一部Windowsソフトのみです)があれば世の中、自分でプログラムしなくともこんなソフトがあり、天文の趣味も多少は広がると思い記事を書きました。質問、疑問は分かる限りお答えします。