プラネタリウムソフトについて

足達 克己

 毎度のパソコンソフト関連記事です。今回は星を見に行くと想定して、3つのプラネタリウムソフトの機能比較を行います。まずはその3つ、

TheSky for Windows Ver.J2.0 販売元 日立カーエンジニアリング \29,800
REDSHIFT2 Win/Mac 販売元 パシフィックハイテック \9,800
Skymap Ver3.03 Win3.1/95 シェアウェウ*1 £35 約\5,000

いずれも正規に購入したした物ですし、天報内で批評してもかまわんと断定して先に進みます。

 まず、ソフト概況は天報402号にもありますが、再度述べます。TheSkyはアメリカのSoftware Bisque社の定番ソフト*2の日本語版、取説は86ページ、メディアはCD-ROM、ハードディスクインストール可能ですがその場合240MB占有、基本星表はH−GSC*3です。REDSHIFT2 *4は、マルチメディアソフトでそこそこ有名なイギリスのMARIS社*5がロシアの宇宙開発局からデータを入手して作ったもので、ソフトそのものは英語ですが、日本語の66ページの取説がついてます。メディアはCD-ROM、Win/Mac両方動作するハイブリッドタイプ、ハードディスクインストールはできません。基本星表はSAO*6です。Skymap*7はイギリスのC.A.Marriotto氏のシェアウェアで1992年から毎年バージョンアップを繰り返して成長しているシンプルなソフトです。当然英語版ですし、取説いっさい無し、Helpだけが頼り、メディアはFD4枚でハードディスクにインストール(たったの10MB)して使用します。基本星表はSAOですが、CD-ROMのH−GSCも扱うことが可能です。

*1 シェアウェアとは、普通のお店で販売するソフトではありません。試供版をパソコン通信やインターネットで配布して気に入れば、代金を払って登録し正規版を使うことができるものです。一般に個人が作り販売を簡素化して配布するための形態です。機能の割に安いのが多いのですが安定度は千差万別です。
*2 これが定番というのはWindows上で始めて出たまともなプラネタリウムソフトであったので、その機能やインターフェース(見栄えと操作のやり方ですな)が他のソフトのお手本とされたかららしいです。← Software Bisque社の受け売り、私は前のバージョン(SAOまでのサポート)を購入してからのバージョンアップサービスで購入しました。前の方が説明書は詳しかった。最初の購入は日本橋   酢手っ付のゲームソフトコーナーで25%引き、よくこんな所にあったと思い衝動買い
*3 H-GSC;Hubbell Guide Star Catalogはその名の通りハッブル宇宙望遠鏡の方向制御に微恒星の正確な位置が必要になったため、NASAが標準天体写真からデータベース化したものです。約14等級1500万個の膨大なものですが、精度はばらつきが多いと言われています。データだけのCD-ROM2枚組も販売されてます。

―――始まり、始まり――――

 とある新月に近い晴れが予想される週末、久しぶりにメシエ天体をものぞこうかな、ついでに星野写真も少し撮っておこう、もしかしたら写るかどうかわからないが近づきつつある彗星のアップを200mmぐらいで撮ろうと思いたちます。まず、パソコンのスイッチを入れ、すぐプラネタリウムソフトを立ち上げます。観測地のデータは入力済み*8なので視野を大きくして、時間を週末の日没1時間後、真夜中、日の出1時間前に設定してだいたいの様子を見ます。つまり星座早見ですな。しかしあんな歪んだ形でなく、視野を180度にすれば天頂を中心とする円形、90度なら地平より上の扇型の実際に近いイメージ*9で見ることができます。なによりも、星の等級や星座の名前や、星座の形、赤緯赤経、高度方位の線の有り無しや色なんかも自由に変えられること*10が一番の目玉です。そして好みに設定した画面をきれいに印刷できます。*11

*4 購入は日本橋の大手 祖父間っ歩で確か20%引きぐらい
*5 他には軍用機関係の H-GSC;Hubbell Guide Star Catalogはその名の通りハッブル宇宙望遠鏡の方向制御に微恒星の正確な位置が必要になったため、NASAが標準天体写真からデータベース化したものです。約14等級1500万個の膨大なものですが、精度はばらつきが多いと言われています。データだけのCD-ROM2枚組も販売されてます。Wingsシリーズが有名 これもロシアのデータベース
*6 SAO;Smithsonian Astrophysical Observatoryスミソニアン天文台が1960年代に人工衛星の光路追跡に必要な微恒星の位置を、エール星表等の過去の星表からまとめたものです。1度視野に必ず4個以上の恒星が入る観点から、9.5等26万個となり、微恒星で始めて全天カバーするものでした。私も海賊版を持ってますがB4ファイル2冊の数字の羅列で活用したとは言えません。
*7 この入手顛末は別な記事で
*8 3種とも緯度経度で入力する。REDSHIFT2は他の月や他惑星も可ですが、例えば月から見た地球の出なんかは見えません。中途半端ですな。
*9 TheSkyはステレオ投影法、REDSHIFT2はメルカトフと極座標の自動切り替え(視野の大きさと位置で変える)、Skymapは星座モードでは極座標のみ
TheSkyの方法がベターですが、実用上大差ないです。
*10 自由度は以下のように豊富
 3種共通 星、星雲星団の等級と表示明るさ 星、星雲星団の固有名の有無
      小惑星、彗星の有無 ラベルはフォントと大きさと色も自由
      星座名もフルネーム/IAUの略称選択可、星も固有名/バイエル名選択
      線関係では星座線、星座境界線、赤道座標、地平座標の有無と色
      ただし座標間隔は自動だったり、10、15、30゜から選別するぐらい
 
TheSky は変光星GCYS、重星WDSカタログでの選別などカタログ類の多さが特徴
REDSHIFT2 は黄道座標、銀河座標、恒星のスペクトル分類別表示、星座別表示などのなんかマニアックなオプションが多い
Skymap は共通項目程度
そもそもH-GSCやら、NGCを全部表示していたら画面は星やら星雲でいっぱいです。視野や目的に応じて変更できる自由さがソフトの真骨頂です。 

 次にメシエ天体と、NGC*12の中で明るい例えば9等以上をピックアップしましょうか。これが結構多くて絞り込むに時間がかかるでしょう。プラネタリウムソフトではこんな具合でやります。まず、星座早見モード、視野角90度ぐらい、地平座標のグリッドを入れ、メシエとNGCのカタログをオン、ラベルもオン、ただし9等以上に設定、そして画面に出てくるメシエとNGCの中で見やすい高度20度以上のものにカーソルを合わせクリック、するとポップアップウィンドウが開いてその星雲のカタログナンバー、赤道座標、高度方位、等級、分類、サイズ等が*13出てきます。これはと思うものは同時に立ち上げておいたメモ帳にコピー&ペースト*14で写しておいてリストを作ります。あちこち本を開くまでもなくパソコンだけでき、楽なもんです。実際はこれらのことを自動的にやってくれるデータベース機能があればいいのですが、残念ながらありません。手動でしこしこやることになります。彗星は主要な周期彗星はほとんど入っていますが、新しい物も軌道6要素を入れて登録すれば*15画面にちゃんとでます。また、どこにいるのかを画面を動かして見る必要はありません。サーチをかけて、地平線より上ならそれを画面中央に持ってくるコマンドがあるのです。基本的にどんな対象でもサーチの対象になります。これで視野を狭くしておいても大丈夫ですね。

*11 3種ともWindowsで設定されたプリンタに合わせて印刷されますので、DOS時代のドットインパクトみたいながたがたでなく、きれいなもんです。これを見たら市販の星図はもういらないと思う人も多いでしょう。レーザープリンタならベストです。REDSHIFT2はカラープリンタ対応と書いてありますが未確認です。他はモノクロ出力のみ
*12 これは説明不要ですよね、3種ともカタログもっています。
*13 他に出、南中、没時間は全部、恒星ならスペクトル分類、所属星座名もREDSHIFT2は写真等級や近い恒星ならば年周視差、固有運動等SAOのデータ全部出てきます。
*14 TheSkyは勝手にメモ帳が立ち上がってコピーされます。

REDSHIFT2にはコピー&ペーストはできません。手入力になります。

Skymapは一般的なクリップボードにコピーします。

*15 TheSkyは専用のテキストファイルにテキストエディタで書き込みます。数値は有効7ケタがやや不満ですが、精度大丈夫かな?

REDSHIFT2は残念ながら新規入力は無いみたいです。致命的欠陥です。

Skymapは専用の入力ウィンドウが開いて入力します。有効数値10ケタ

*16 TheSkyREDSHIFT2は上下左右同時反転のみ、

Skymapは別々に反転可つまり天頂プリズムの左右のみ反転の視野も可能です。

 今まで見たことのないメシエ天体なんかは、周辺の星と位置関係が分かるようなファインディングチャートを作って印刷しておくと確実です。視野、恒星の等級、座標系などが自由であることはすでに述べましたが、なんと視野の反転*16もできるのです。これでファインダをのぞきながら頭の中で上下左右反転した煩雑さともおさらばです。さらに、ファインダやアイピースの視野の円*17も入れられます。これで完璧。

 星野写真では経験された方も多いでしょうが構図を決めるのが結構大変です。ファインダには2等級くらいしか見えないし、あらかじめ星図で決めておくにも複数の星図にまたがることが多いんです。そこでソフトでは四角の画角を設定しておけば構図もピタリということです。*18

 後、ノートパソコンにソフトをインストールして野外で動かすときには暗夜に慣れた目をいたわるためナイトビジョンモードがあります。*19 これで画面は薄暗いオレンジ単色になりますが、同時に見にくくもなり、いたしかゆしです。ただ、今のノートパソコンで一晩電池がもつようなのは無いので、自動車のシガーライタアダプタが必要でしょう。それと私は画面をXGA1024×768画素、16万色に設定してますが、ノートパソコンのVGA640×480画素は微恒星を表示するのは苦しいです。せめてSVGA800×600画素ほしいです。最近の発売のノートパソコンはSVGAが殆どなのでいいのですが、旧型はちょっとハンディです。CPUはペンティアムでなくとも486DXで計算速度、表示速度ともでも十分です。しかし、屋外では直接コンピュータ制御の赤道儀と接続してマウスで対象をクリックして、自動導入*20が究極なんでしょうね。

 と、言うわけでソフトを立ち上げたパソコンで観測準備は整いました。あとは観測機器を忘れずに、防寒対策もしっかりとして出かけて行くとしましょう。

*17 TheSkyは望遠鏡とアイピースの豊富なデータベースがあり、それを選択しても良いですし、直接視野○度と指定もできます。更に星座全体の中に一部拡大した図を貼り付けた図を印刷する機能もあります。REDSHIFT2はこの機能がありません。 Skymapは望遠鏡とアイピースの組み合わせで表示しますが、自分で追加できるので不自由さは無いでしょう。
*18 TheSkyのみ四角の視野枠設定があります。大きさは上下左右とも個別指定、画面の中央固定ですが背景の星夜を右クリックで自由に動かせるので構図がすぐ決定できます。
*19 これは3種とも備えてますが、線やラベルを入れているとかなり見にくい それとキーボード入力もあるので別に照明は必要です。通常のモードでしたら画面がキーボード照明になりますので必要ないですが。
*20 TheSkyはミードとビクセンをサポートしてます。ミードなら1万円以下のケーブルだけで可能なはずです。ビクセンは接続ボックスが3万円ほどしたように前のバージョンの説明書に書いてありました。REDSHIFT2Skymapには接続機能がありません。

 その他の機能や欠点をまとめます。

TheSky

食のアニメ機能あり、日食月食もデータベースを持っておりその状態を刻々と表示する。ただし地球上でどの場所が皆既帯かになるかの計算機能はない(これはEclipse Completeの独壇場)天体写真、ムービーのあり、大体NASAのもの

他は太陽系遠望、月齢カレンダ、惑星のタイムスキップなど 欠点は値段とハードディスクインストール時の240MBの占有量でしょう。

REDSHIFT2

ガイドツアーと呼ばれる10の天文現象の音声(クィーンズイングリッシュ)付きムービーと詳しいチュートリアル(当然クィーンズイングリッシュ)があり、かなりのレベルです。太陽系内の惑星と衛星は非常にリアルな画像で見ることができます。かなり詳しい天文百科(英語ですがね)をいつでも見ることができます。日食月食の予報とアニメーション、惑星の等級や視直径のグラフ表示と印刷もあります。

欠点は視野の大きさや方向を変えたりするこがやりにくい、直感的なインターフェースになっていない。それと親切な説明があるんですが英語一辺倒は少々つらい。ヘルプがないので操作がわかりにくい。彗星の軌道要素が入れられない点が致命的でしょうか。

Skymap

特に付け加える機能はもうありません。写真やムービーをリンクすることは簡単です。英語版なんですがこった機能がないのでヘルプだけで操作できますし、あまり英語で悩むことがないシンプルさが長所です。欠点は星座モードはいいんですが、視野をせまくして星図モードにすると表示が正方形になり、画面右30%ぐらいなにも表示されない部分がでることです。

 ということで結論ですが、やはり定番ソフトのTheSkyが機能の豊富さ、使いやすさの点から無難な選択でないかと思います。しかし、天文アマチュアからみればSkymapでも機能的に十分かと思います。REDSHIFT2はガイドの素晴らしさが特徴で、星図の代わりに使う目的とはややずれるソフトです。私は小口径しか持っていないのでSkymapをメインにTheSkyをサブに使っています。大口径やCCDで暗い天体をねらう方はH-GSCのTheSkyになるのでしょう。

 他にTheSkyと性格が似ているものに「ステラナビゲータ for Win \12,800」日本のソフトでSAOサポートですがハードディスクインストールはできないみたいです。REDSHIFT2に似ているものに「 Distant Suns \9,800」日本語版、H-GSCサポートがあります。この2つどなたか持っている人があったら記事の投稿をお願いします。←天報係より強くお願い

 印刷例は別な機会でお目にかけます。これ以上ページを増やしたら会長のスペースがない。